その結果、どの実験においても、記憶に残りやすい写真を見ているときには、記憶に残りにくい写真を見ているときよりも瞳孔がわずかに大きくなることが確認されました。

特に、「ただ写真を眺めるだけ」の実験でもこの現象が確認されたことは、脳が無意識のうちに記憶の重要度を判断している可能性を示唆する興味深い結果だと言えます。

今回の研究では、「記憶に残る写真を見ると、無意識のうちに瞳孔が開く」ことが分かりました。

この現象が起こるしくみは、現時点でははっきりとはわかりません。

しかし新美氏は、「瞳孔の変化は記憶の原因ではなく結果」だと推測しています。

つまり、瞳孔が大きくなることで記憶しやすくなるのではなく、覚えやすい写真を見たときに生じる認知的処理の副産物として瞳孔が大きくなったと考えられます。

このことは、記憶しやすい写真と記憶しにくい写真は、それぞれ脳の中で異なった認知的処理を受けていることを示唆しています。

この研究を発展させるなら、脳と記憶しやすい映像の関係をより深く理解することに繋がるかもしれません。

私たちが何気なく見ている多くの映像の中には、脳の働きの観点で異なるものが存在します。

それこそが「記憶しやすい映像」であり、そのとき、私たちの瞳孔は大きくなっているのです。

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参考文献

記憶に残りやすい写真を見ると瞳がちょっと開く
https://www.niigata-u.ac.jp/news/2025/788943/

元論文

Pupillary Responses Reflect Image Memorability
https://doi.org/10.1111/psyp.70007

ライター

大倉康弘: 得意なジャンルはテクノロジー系。機械構造・生物構造・社会構造など構造を把握するのが好き。科学的で不思議なおもちゃにも目がない。趣味は読書で、読み始めたら朝になってるタイプ。

編集者