旅行先で撮った写真は鮮明に覚えているのに、昨日見た広告の画像は思い出せない——そんな経験は誰にでもあるはずです。

では、一度見ただけで記憶に残る写真と、すぐに忘れてしまう写真の違いは何なのでしょうか?

この疑問に答えるため、新潟大学の新美亮輔氏は、人が写真を見る際の「瞳孔の変化」に注目しました。

研究の結果、記憶に残りやすい写真を見ているとき、そうでない写真に比べて瞳孔がわずかに大きくなると判明しました。

これにより、私たちの脳は無意識のうちに「記憶に残る写真」と「そうでない写真」を区別している可能性が示唆されたのです。

この研究の詳細は、2025年2月10日付の科学誌『Psychophysiology』に掲載されました。

目次

  • 「記憶に残りやすい画像」と「記憶に残りにくい画像」の違いは何か?
  • 記憶に残りやすい写真を見ると瞳孔が大きくなると判明!脳の処理の違いを反映している!?

「記憶に残りやすい画像」と「記憶に残りにくい画像」の違いは何か?

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私たちは無数の画像を目にしている。記憶しやすい画像とそうでない画像の違いは? / Credit:Canva

私たちは毎日、無数の画像を目にしています。

SNSの投稿、テレビのCM、雑誌の写真——しかし、それらすべてを覚えているわけではありません。

なぜある写真は強く記憶に残り、別の写真は一瞬で忘れてしまうのでしょうか?

ある人は「明るい写真や綺麗な写真が記憶に残りそう」と考えるかもしれません。

しかし、実際にはそのような写真が必ずしも記憶に残るわけではないと分かっています。

また、人が映っている写真はそうでない写真より記憶されやすいという傾向がありますが、それだけでは説明できない要素も多く存在します。

では、私たちの脳はどのようにして「記憶に残りやすい写真」と「忘れやすい写真」を区別しているのでしょうか?

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瞳孔の変化に注目 / Credit:Canva