余談ですが先述したように和算界では未解決問題を巻末に記していましたが、その問題が解けた場合、解答と一緒に新たな未解決問題を載せて出版する遺題継承(いだいけいしょう)が盛んに行われていました。

しかしこれにより問題の難易度はインフレしていき、やがて誰も手に負えない域にまで達してしまったのです。

この壁を打ち破ったのが、天才数学者・関孝和(せきたかかず)です。

彼は問題ごとに新たな技術を編み出すのではなく、問題に適した方程式を立ててそれを解く新しいアプローチを提案したのです。

このアプローチの転換により、遺題継承に終止符を打ちました。

他にも関は微分法の概念を独自に発見するなど、後世に深い影響を与えており、和算の発展に大きく貢献しました。

このように、和算の「好み」から生まれた数学の連鎖は、関の手によってひとつの幕を閉じることとなったのです。

全ての画像を見る

参考文献

大阪大学学術情報庫OUKA
https://ir.library.osaka-u.ac.jp/repo/ouka/all/75881/

ライター

華盛頓: 華盛頓(はなもりとみ)です。大学では経済史や経済地理学、政治経済学などについて学んできました。本サイトでは歴史系を中心に執筆していきます。趣味は旅行全般で、神社仏閣から景勝地、博物館などを中心に観光するのが好きです。

編集者

ナゾロジー 編集部