このシナプス刈り込みが乱れると、小脳のネットワークが本来の形に成熟しにくくなると考えられています。
結果として、運動テストでバランスを崩しやすくなったり、水泳テストで動きをやめる時間(抑うつ様行動と解釈される)が増えたりする可能性があるのです。
研究チームによると、こうした発達期の鼻づまりによる影響は思った以上に長引くようで、大人になってから突然鼻をふさいだグループではそこまで大きな問題は起きなかったそうです。
とはいえ、大人の場合でも慢性的な鼻づまり状態で過ごしていれば、睡眠障害や酸素不足が積み重なって集中力やメンタル面に影響する可能性は考えられます。
今回の実験は発達期の脳を中心に調べていますが、「呼吸が脳に影響を与える仕組み」が解明されれば、子どもから大人まで含めたケアや予防法の開発につながるかもしれません。
鼻づまりを改善するだけで、脳と身体両面のパフォーマンスが底上げされる可能性は十分に考えられるのです。

今回の研究結果は、鼻づまりを「ただの不快症状」と見過ごしていると、実は小脳の神経回路づくりにも影響が及び、運動能力やメンタル面に変化が起きるかもしれないという内容でした。
特に子どもの成長期には、長引く鼻づまりが思いがけない影響を残す可能性も示唆されています。
もちろん「鼻が詰まらなければ万事解決」という単純な話ではありませんが、睡眠の質や日中の集中力を高めるうえで、鼻づまりを放置しないことは大きな意味を持ちそうです。
普段あまり気にしていなかった方も、ぜひ一度「自分の呼吸状態」を見直してみるといいかもしれません。
ほんの少しのケアでも、体の感覚や気分が軽くなる可能性は十分にあります。
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参考文献
鼻呼吸の重要性を解明:発達期の鼻閉塞が脳に与える影響
https://www.isct.ac.jp/ja/news/6nh69v4x1xt2