ちょっと息苦しいときや、朝起きた瞬間に鼻が詰まっているとき。
「これくらい大丈夫」と放置していませんか?
東京科学大学の研究で、発達期に鼻呼吸ができない状態が長く続くと、脳の大事な回路づくりにまで影響を及ぼす可能性がわかってきました。
しかも、「運動能力が落ちる」、「なんだか気分が沈みがち」といった現象とも関係するかもしれません。
ふだん見逃しがちな鼻づまりがいかに私たちの脳や身体に影響を及ぼすか見ていきましょう。
研究の詳細は2024年10月23日付で学術誌『Communications Biology』に掲載されています。
目次
- 見落としがちな鼻づまりのリスク
- 鼻づまりが脳回路に影響を及ぼし運動機能や気分を左右する
見落としがちな鼻づまりのリスク
日常生活で鼻がつまると、まず思い浮かぶのは「呼吸が苦しい」、「睡眠の質が下がる」、「口呼吸になってしまう」といった悩みではないでしょうか。
実際、鼻づまりが続くと鼻腔で行われる空気のろ過や湿度調整が十分に働かず、体内への酸素供給効率が落ちる恐れがあります。
これによって朝からなんとなく体がだるかったり、夜中に目が覚めたりしやすくなるなど、疲れやすくなる悪循環が起こりがちです。
さらに、口呼吸中心になると口内が乾燥しやすく、喉の炎症リスクも高まるため注意が必要です。
しかも鼻づまりの問題は、身体面だけではとどまりません。
最近は「鼻呼吸のリズムが脳波にも影響し、集中力や記憶力に変化が起こる可能性がある」という研究報告が少しずつ増えています。
鼻が詰まって呼吸が浅くなると、睡眠時やリラックス時の脳の活動パターンが変化して、結果的にイライラしやすくなったり、気分が落ち込みやすくなったりするかもしれないのです。
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もちろん鼻づまりだけが原因とは限りませんが、「慢性的に呼吸がしづらい」状態を長く放っておくのは得策ではないでしょう。