このように、認知の歪みは多かれ少なかれだれでも持っているものです。

認知の歪みを改善する5つのステップ

では、認知の歪みがそのような大きな影響力を持つ前に気づき、現実的な思考方法になるように改善するにはどうしたらよいのでしょうか。

実践的な5つのステップをご紹介しましょう。

  1. キーワードに気づく

    認知の歪みと言えるような極端な自動思考には、よく出てくるキーワードがあります。まず、このキーワードを捉えることが、自分の認知の歪みに気づく第一歩です。

    「今日は何もうまくいかない」 「私はいつも失敗ばかりする」 「みんな私のことを嫌っている」

    これらの言葉に共通するのは、「全部」「いつも」「みんな」といった極端な表現です。このような言葉は、現実を歪めて捉えてしまう原因となります。

    初めに、自分の思考の中に「全部」「いつも」「絶対」「みんな」「何もかも」といった言葉が含まれていないかチェックしてみましょう。

    例えば「今日のプレゼン、全部ダメだった」という思考が浮かんだ時、その「全部」という言葉に注目してみるのです。

    実際には、スライドの構成は評価されたものの、話すスピードが速かったという具体的な状況が見えてくるはずです。また、最後に質問されたときにうまく答えられなかったために、プレゼンでの自分のパフォーマンス全体を否定的にとらえてしまっているかもしれません。

  2. 具体的なできごとを書き出してみる

    次に、「全部うまくいかなかった」と感じる時は、実際に何が起きたのか、具体的な出来事を書き出してみましょう。

    「今日は最悪な1日だった」と感じた時、その日の出来事を振り返ってみると、確かに、朝の電車が遅れて遅刻しそうになったり、会議資料の誤りを皆の前で指摘されたりといった不愉快な出来事がありました。

    一方で、ランチのときに仲のよい同僚と楽しくおしゃべりしたり、任されていた仕事が問題なく終了してほっとしたという、よいできごともあったことに気づくはずです。

  3. 過去の成功体験を思い出す