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パリ気候協定への2035年の数値目標の提出期限は2月10日だったのだが、ほとんどの国が間に合っていない。期限に間に合った先進国は、米国、スイス、英国、ニュージーランドの4か国だけ。ただしこの米国は、バイデン政権が約束しただけで、トランプ政権は離脱を決めたから、もはや関係ない。

パリ協定の温室ガス削減新目標 9割の国が提出期限に間に合わず

日本も期限に間に合わなかったが、2035年に60%削減という数値目標の案は昨年末に作成され、1月末にパブリックコメント提出機関が終わった。浅尾慶一郎環境大臣は2月7日の会見で、パブルックコメントを精査したのち、年度内での閣議決定を目指すとしている。

だが他の国はもっと動きが遅いようだ。欧州連合(EU)、中国、インドは提出が今年後半にずれ込むだろう、と報じられている。

だが本当に数値目標を提出するのだろうか。

2050年までにCO2ゼロというのがパリ気候協定での「野心的な目標」の相場になってしまっているので、2035年というと、残り15年でCO2をゼロにしなければならない。

それで日本も2035年までに60%削減(2013年比)という無茶な数値目標案を作った。だがいまでも日本のエネルギーの8割以上は化石燃料であり、それをこんな短期間で減らせる筈がない。もしこの目標に突き進めば、いよいよ産業空洞化が進み、日本の製造業に止めを刺すことになる。