これにより、脳は「これは嫌な体験だ」と捉え、実際の辛さがより苦痛に感じられるのです。

ポジティブならどんなものでも快感を感じるかも!?
ポジティブならどんなものでも快感を感じるかも!? / Credit:Canva

この研究は、同じ辛いソースという刺激でも、「楽しみだ」と感じるか「嫌だな」と感じるかで、脳が全く異なる方法で体験を処理することを明らかにしました。

辛いものが好きな人は、ポジティブな期待によって辛さを「楽しさ」や「快感」として捉え、脳の報酬系(前部島皮質や前帯状皮質など)が活性化します。

一方、辛いものが苦手な人は、ネガティブな期待により、同じ辛さを「痛み」や「不快感」として強く感じ、痛覚処理に関わる領域(島皮質や前帯状皮質など)が反応します。

今回の結果は、辛い食べ物を楽しむことにとどまらず、治療や痛みの管理にも応用できる可能性があり、今後の研究でさらに広がることが期待されます。

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参考文献

Asymmetric placebo effect in response to spicy food
https://www.sciencedaily.com/releases/2024/10/241008144630.htm

元論文

The expectations humans have of a pleasurable sensation asymmetrically shape neuronal responses and subjective experiences to hot sauce
https://doi.org/10.1371/journal.pbio.3002818

ライター

岩崎 浩輝: 大学院では生命科学を専攻。製薬業界で働いていました。 好きなジャンルはライフサイエンス系です。特に、再生医療は夢がありますよね。 趣味は愛犬のトリックのしつけと散歩です。

編集者

ナゾロジー 編集部