そのため、イヌの首輪は、エジプト新王国時代(紀元前1570頃~紀元前1070年頃)から、複雑なデザインと装飾によってイヌを称える芸術作品として扱われるようになりました。

この新王国時代の貴族の墓から発見されたイヌの首輪2つには、飾りだけでなくイヌの名前まで記されていました。

現代では当たり前の「首輪にイヌの名前を入れる習慣」は、古代エジプトで初めて現れたと考えられています。

一方で、イヌの首輪がより実用的な変化を遂げたケースもありました。

それが現代でも見られる「トゲトゲの首輪」です。

トゲトゲ首輪は牧羊犬がオオカミから身を守るために生まれた

古代ギリシャやローマでは、イヌを戦争や護身用のために使用していました。

そのため、それらのイヌたちには、攻撃者たちから身を守るために、細長いスパイク(トゲトゲ)付きの首輪が与えられました。

例えば、イヌたちはオオカミや他の野生動物に襲われる危険がありました。

それらオオカミは、頸動脈がある首に噛みつき、致命傷を与えようとします。

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スパイク付きの首輪は、攻撃者から急所を守るのに役立った / Credit:Wikipedia Commons

スパイク付きの首輪は、オオカミがイヌの首を噛むのを阻止したり、そのように攻撃してきた敵を負傷させたりする点で役立ったのです。

そしてこのタイプの首輪は、現代でもスペインやトルコなどのいくつかの国で、牧羊犬のために使用されており、「ウルフカラー(Wolf collar)」と呼ばれています。

牧羊犬は羊飼いのサポートをしながら、羊たちをオオカミなどの野生動物から守ります。