共産党の「日米安保廃棄」で日本を守れるのか

「反米反戦」の共産党の「日米安保廃棄」は、安保条約5条の「日米共同防衛」の規定を全く無視ないし敵視するものである。しかし、この規定があるからこそ、中国もロシアも北朝鮮も日本には容易に手を出せないのである。なぜなら、手を出すと安保条約5条により、核戦力を含む世界一の軍事大国である米国との戦争を覚悟しなければならないからである。その意味で、「日米安保」が戦後日本の安全保障にとって最大の「抑止力」であったといっても過言ではない。

このように日本の安全保障にとって死活的に重要な「日米安保」をあえて廃棄すると主張するのが現在の共産党である。共産党は「日米安保を廃棄して、東南アジア諸国連合とも協力し、北東アジアに対話の枠組みを作り、日中間の対話を促進し、市民運動をアジア規模で広げる」(「赤旗」2024年5月7日)と主張する。

しかし、安保条約を廃棄した日本は米国という強大な同盟国を失って「丸裸」になり、核保有国の中国、ロシア、北朝鮮にとって極めてくみしやすい相手となることは必定であろう。米国による「核抑止力」を失った日本は、これらの核保有国からの恐怖の「核恫喝」にも全く無力となり「核恫喝」にひれ伏し、尖閣諸島の放棄を含む核保有国中国の不当な要求ものまざるを得ないであろう。

そのうえ共産党は党綱領四で自衛隊まで解消するというのである。まさに、共産党の「日米安保廃棄」は、日米同盟による「抑止力」を失った日本国と日本国民を滅亡の危険に晒す<暴論>というほかない。共産党は「日米安保廃棄」により東南アジア諸国連合との協力を強化し、「平和外交」で日本の主権と安全を守る旨主張するが、上記諸国連合が安全保障上、到底「日米同盟」の代替にならないことは明らかである。

共産党は意図的に上記諸国連合を過大評価しているのである。なぜなら、フィリピンは上記諸国連合の有力加盟国たる「原加盟国」であるが、南シナ海における国際法無視の軍事大国である中国の力による現状変更を受けたため、改めて米国との個別的防衛協力を余儀なくされたからである。このように、上記諸国連合は軍事大国中国には無力なのであり、これが国際社会の厳しい現実である。したがって、1億2000万国民の生命と安全にかかわる日本の安全保障を到底上記諸国連合などに依存できないことは明らかである。

日本共産党は米国の「尖閣諸島防衛」にも反対か?