錯覚による高速飛行の誤認
AAROの分析では、対象物の推定速度は時速5マイル(約8キロメートル)から92マイル(約148キロメートル)とされており、その速度は風の影響を受けるものであった。特に当時の高度1万3000フィートにおける風速は西から時速約69マイル(約111キロメートル)であったことが確認されており、この物体が風とともに移動していた可能性が高いと結論付けている。
報告書では、「AAROはこの物体が異常な速度で移動していたとは考えていない」と明言している。さらに、高速で飛行しているように見えたのは運動視差による錯覚だと説明されている。これは、移動する視点から静止または低速で動く物体を観察すると、背景と比較して速く移動しているように見える光学的な効果である。
AAROの分析は圧縮された映像データを基に行われたが、オリジナルの映像ファイルおよびメタデータが失われているため、完全な解析は不可能だった。それでも、報告書は「対象物が異常な飛行能力を持っていた証拠はない」との結論を出している。