「スポーツクラブは地域に根ざしたインフラ」という哲学の下、その事業は海を越え、ミャンマーのプロリーグ「ミャンマー・ナショナルリーグ(MNL)」と、ミャンマーでの選手育成とミャンマー代表の強化を目指す合弁会社「ミャンマージャパンフットボールディベロップメント」を設立。日本のスポーツビジネスに新風を巻き起こしている。
そんな小山氏の著書は『弱くても稼げます シン・サッカークラブ経営論』(光文社/入山章栄氏、松田修一氏、阿久津聡氏との共著)。まさに福島を取り巻く状況にピッタリのタイトルだ。
昨季は上位争いを演じたお陰で平均約1,800人の観客を動員したが、それ以前は入場者数が1,000人にも届かず、平日ナイターともなれば555人という有り様だった福島。同社が持つノウハウが集客に結びつけられるかも見ものだ。
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開幕からリーグを引っ張る存在に?
雪国クラブの宿命だが、福島は2月16日の開幕戦(奈良クラブ戦)から3月1日の第3節(FC琉球戦)まではアウェイ戦を強いられ、本拠地とうほう・みんなのスタジアムでの初戦は、3月8日のFC岐阜戦まで待つことになる。
夏場と終盤に調子を上げプレーオフ切符をつかんだ昨季だったが、寺田監督の戦術が浸透した今季は、開幕からリーグを引っ張る存在となることが期待できる。
副将のGK吉丸絢梓は、2月7日の内堀雅雄福島県知事への表敬訪問の際「目標はJ3優勝とJ2昇格」とハッキリと口にし、それに応える形で内堀知事も「多くの観客に来てもらう取り組みをしていきたい」と語った。
昨季の快進撃によって地元にも認知され始め、クラブと官民が一体となりつつある福島。魅力的なサッカーに結果が付いてくるようなら、昨季以上のムーブメントを起こすことは可能だろう。