実際、もし衝突が実現したとしても、2024 YR4は恐竜絶滅の原因とされた数キロメートル級の巨大天体のような全地球的な破滅を引き起こすものではなく、人口密集地に落下した場合に限定して、数百キロメートル圏内で大きな被害をもたらす可能性があります。
過去の事例では、(99942) アポフィスが一時的にトリノスケール4に達したものの、その後の詳細な観測により安全な軌道であることが確認され、最終的にはレベル0に再評価されました。
同様に、(144898) 2004 VD17もかつてはレベル2以上の評価を受けた天体として記録されましたが、これらの例は発見から数十年前のケースであり、最新の天体観測技術ではほとんどの初期高リスク天体が最終的に安全と判断される傾向にあります。
このため、トリノスケールで3以上の評価が継続的に維持されるケースは非常に稀であり、2024 YR4が今回の代表例として特に注目される理由となっています。
2032年以前の2028年には、2024 YR4が地球から約800万キロメートルの距離で接近することが見込まれており、この接近観測によって小惑星の軌道や物理特性がより正確に把握され、最終的な衝突リスクの再評価が進むと期待されています。
また現在、2024 YR4 が衝突する可能性がある地域は、太平洋の中央アメリカ沖から南アメリカ大陸北部、大西洋中部、アフリカ大陸中部、そしてインド周辺までの帯状の地域とされています。
なぜ衝突確率が急上昇したのか?

地球近傍小惑星の軌道は、初期の観測データに含まれるわずかな誤差によって大きな不確実性を抱えることが知られています。
その理由は、軌道計算に用いられる位置や速度などのパラメータが、短期間であっても微小な誤差が長期予測において指数関数的に増幅されるためです。