というのもノドグロミツオシエは確かに蜂の巣のありかを特定するのに長けていますが、体が小さくて非力なため、蜂蜜を採取するのは苦手だったからです。

彼らが蜂の巣に近づくと、当然ながら主であるミツバチたちが大群で襲いかかってくるため、ケガなしでは済みません。

しかし蜂蜜ハンターたちは蜂の巣を見つけると、煙を焚いてミツバチを気絶させる術を心得ていましたし、道具を使って簡単に幹を割り、蜂の巣を効率的に取り出すことができました。

そしてノドグロミツオシエたちは蜂蜜ハンターが採取した蜂蜜のおこぼれを安全にいただくことができたのです。

蜂蜜ハンターたちも蜂の巣を教えてくれたお礼として、地面に蜂の巣の断片をいくつも置いていくようになりました。

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モザンビークの蜂蜜ハンター/ Credit: Claire N. Spottiswoode

ここから蜂蜜ハンターとノドグロミツオシエは明確な協力関係を築き始めます。

具体的には、蜂蜜ハンターが独特の呼び声を発すると、それを聞いたノドグロミツオシエたちも鳴き声を返しながら、木から木へと飛び移り、蜂の巣のありかへと導いていくのです。

蜂蜜ハンターたちはこの独特の呼び声を父親たちから代々受け継ぎます。

このように、自然界において人と動物が共通の利益を得るために協力する関係は極めて稀なこと。

まさにアフリカの蜂蜜ハンターは、ファンタジーに登場する「鳥使い」のような存在なのです。

収穫量の4分の3が鳥のガイドによるものと判明

蜂蜜ハンターとノドグロミツオシエの協力関係は十分に知られていますが、経済的にどれほど役立っているのかは数値化されていませんでした。

そこでケープタウン大学の研究チームは、モザンビーク北部・ニアサ地域にある13の村で141人の蜂蜜ハンターを対象に調査を行いました。

聞き取り調査のほか、地域の野生生物を記録・保護するコミュニティの監視員が残してきた記録を分析しています。