営業力は競合も強い。リクルートやバイトルを提供するディップは、採用業界のノウハウに長けた営業人材が豊富にそろっている。タイミーは業務別の専任チームによる差別化を強調しているが、同様のことを他社でもできないわけではない。必要であれば業務に詳しく、コンサルティングができる人材を採用すればよい。

既存顧客が他社に奪われるのを防ぐという点では、88,000円のブロック機能が一つの役割を果たす。事業所側にとって、ワーカーの社会保険加入義務が生じないよう管理するには、複数のプラットフォームサービスを使うと面倒だからだ。

とはいえ、タイミーで必ずスキマが埋まるわけではない。人材確保が優先となるため、人手が足りない場合には、他社サービスを使うことも十分あり得る。

このように、タイミーのシステムやノウハウは、スポットワークプラットフォームに共通する汎用的な部分が多い。そもそもプラットフォームビジネス自体が人と人をマッチングするビジネスモデルであるため、独自の付加価値を出しづらいという特性がある。

Facebookを運営するMetaはSnapchatが開始したストーリーズの機能をすぐにInstagramで真似るなど、プラットフォームビジネスは同質化が進みやすいのだ。

プラットフォームビジネスで後発ながら急成長したPayPay

付加価値を出すことが難しいプラットフォーム市場の一つに、キャッシュレス市場がある。基本機能は支払をスムーズに行うことのみだからだ。ここでは、PayPayが後発ながら急成長した。

PayPayは2018年12月に「100億円あげちゃうキャンペーン」を実施した。最大20%のキャッシュバックの効果もあり、2年でユーザー数は3500万人を突破、2022年には業界1位の楽天が6200億ポイント発行したのに対してPayPayは6000億ポイント発行と猛追している(参考:たった5年で業界トップまで駆け上がった[PayPay]…その「拡大」と「課題」 現代ビジネス 2023/12/05)。