企業側にとっても、評価の高いワーカーを選びやすくなり、即戦力となる人材を確保しやすくなる。

2つ目はワーカーを雇用する企業への提案力だ。業界別に専門のチームを作り業務分析やシフト設計を行うことで、スポットワーカーでもできる業務を切り出し、企業にスポットワーカーの利用を提案する。

タイミーには頼めない、と思い込んでいる顧客の業務改革を誘導し、ニーズを作り出しているわけだ。

3つ目は相互評価だ。ワーカーは企業を、企業はワーカーを評価した履歴がアプリにたまるので、良質なワーカー・企業が一目でわかる。これにより、安心して採用・勤務ができる。

4つ目はブロック機能だ。同じ店舗で1ヶ月に88,000円以上働き、他の要件(継続して2ヶ月を超えて雇用される見込み等)を満たした場合、ワーカーの社会保険加入手続きが生じる。これに伴う費用負担と事務作業の発生を防ぐために、タイミーでは同じ店舗で88,000円以上働くことを防ぐブロック機能を設けている。

こうした仕組みはよくできており、一見するとタイミーの優位性には何ら問題が無いように見える。しかし、これらの仕組みに共通する弱さは、他社による模倣が容易である点だ。

タイミーの競合優位性が危ないワケ

例えば評価システムのバッジ制度。これは他社でも導入可能で、登録特典などのインセンティブを与えることで、ワーカーは複数のプラットフォームを併用する可能性がある。

企業の開拓はどうだろうか?

タイミーはそもそも「スポットワークで切り出せる業務を見つけられない。面接なしで採用なんて考えられない」という企業に意識変革を促して、仕事を増やしてきた。世の中の当たり前を変えた革命的な企業といえるだろう。

当然、タイミー独自の開拓ノウハウはたまってはいるはずだが、スポットワーク市場として事例が増えている。したがって、競合企業はタイミーをお手本としてノウハウをためやすい状況にある。現在は、タイミーに先行者利益、一日の長があるが、時間が経つにつれ競争優位は薄れていく。