先発企業は、市場の課題と解決策を地道に時間をかけて見つけていく。成功すればライバルのいない市場の創出、いわゆるブルーオーシャンで大儲け出来るが、一方で後発企業は先発企業が苦労して見つけた「成功の方程式」をコピーできる。ブルーオーシャンもいつかは競争の激しいレッドオーシャンへと変わってしまう。

研究結果もある。先発企業のおよそ47%が失敗するというデータに対して、後発企業の失敗率はおよそ8%と、先発企業の6分の1に留まっており、後発企業の方がビジネスにおいて圧倒的に成功する確率が高いとされる(参考:『ORIGINALS 誰もが「人と違うこと」ができる時代』 アダム・グラント 三笠書房 2016/07/05)。

「後発企業の方が圧倒的に有利」と聞くと意外に感じるかも知れないが、その最大の理由が上記の通り先発企業の試行錯誤をお手本に出来るからだ。

GAFAMの例を挙げるまでもなく、最初の企業が勝つとは限らないという説明になる。

そしてそんな競争の激化を見越してか、タイミーの株価は上場時の初値が1850円、9月3日には2235円と最高値を付けたが、執筆時点では初値より2割程度低い1490円となっている。

スポットワークに法規制の可能性

労働市場全体で見れば、過去には日雇いの派遣社員に厳しい法的規制がかかり、一年で半減することもあった(参考:厚生労働省 2019年6月25日)。労働者保護を理由に規制が強化されればスポットワーク市場が一気に冷え込む可能性すらある。

加えて、このような可能性は決して杞憂ではない。

10月には、スポットワークで無断欠勤をしたユーザーがペナルティとしてアプリの無期限利用停止になる仕組みについて、職業安定法に違反するとして厚生労働省が指導を行ったことが報じられたばかりだ(参考:朝日新聞 2024/10/14)。

初期のネットオークションでトラブルが大量に発生したことや、出会い系サイト、今で言うマッチングアプリが法的に厳しく規制された事からも分かるように、人手を介さずネットを通じたマッチングはトラブルがおこりやすい仕組みであることは間違いない。