また、多くの日本人がいう「アメリカの会社では~」というのはITや金融業界など利益率が極めて高い業界をいっており、一般職ではそこまで劇的なアップは少ないのが現実である。

日本と海外を比較する場合は「同じ業界、同じ業務、同じ役職」の水平比較をするべきだが、度々SNSで巻き起こる論争の多くは、日本の一般職と米国の大手ITテックとの非水平比較になっていることが少なくない。これではそもそも前提条件の時点で破綻している。

また、イギリスや中国などでも転職ほどの大幅な昇給は期待しづらいのが一般的だ。特に中国では日本以上に「転職しないと給料は上がらない」という認識が強く、ITや金融などのハイペースな業界では、30代半ばまでに転職を繰り返して給料を上げるのが一般的とされる。

「年収を上げたければ転職」が答えなのだ。

「日本は頑張っても報われない」は本当か?

筆者は始めから米国系企業でキャリアデザインを考えていたので、「転職を繰り返して年収アップ」というのは働く前から「当たり前」という思考だった。実際、働きながらスキルアップや業務経験を積むことで数年おきの転職でドンドン年収は上がり、最大で年収200万円アップとなった。

さらに、転職後も積極的にハイレベルな業務に挑戦し、それが評価されてスキルグレードが上がった結果、ボーナスも含め100万円以上の昇給につながった。

また会社の同僚や、親族や知人のITエンジニアなんかも、「労働時間の長さではなく、いかに時間単価を上げるか」「若い間にドンドン転職をしてより高待遇の会社にハイスキルをつけて入る」ということを目指して努力しているように見える。20代で年収1000万円以上に到達する人は概ね、これと似たような思考を持っていると考える。

その一方で、「頑張っているのに報われない」という人の中には「努力の方向性が間違っている」と感じる人も少なくないと感じるのだ。