しかし3割負担だと診察代が高いため、病院まで行って処方薬を買うより、近所の薬局で市販薬を買うほうが安い場合も多い。

維新の提案内容

OTC類似薬を公的医療保険の適用外に:実施すれば医療費を年間3450億円削減可能と試算。 社会保険料負担の軽減(年間1人あたり約6万円減少と試算) 医療費負担の見直し(収入だけでなく金融資産も考慮)

医療用医薬品という区分を廃止——日本総研の提言

現行制度の問題

セルフメディケーションの阻害:患者はOTC類似薬を医療機関で処方してもらう方が、市販薬を薬局で購入するよりも自己負担が少なくなる。その結果、セルフメディケーション(自己治療)よりも医療機関受診が優先されてしまう。 医療保険財政の圧迫:OTC類似薬の公的医療保険負担額は年間約1兆円(2021年度時点)に上る。 医療保険制度の公正性の欠如:軽症の人が頻繁に医療機関を受診し、OTC類似薬の処方を受けることで、医療保険財政の不公平が生じる。 医療用医薬品という区分の廃止:日本では処方箋医薬品とは別に医療用医薬品という根拠不明な区分がある。処方箋が必要かどうかはリスクの大きさで決まるが、医療用医薬品はメーカーの申請で決まる。この区分を廃止し、処方箋の必要ない薬はすべて市販薬に分類する。

懸念点

患者の自己負担が増加する可能性:低所得者への負担軽減策が必要。 薬の濫用や不適切な使用が増える懸念:薬剤師の指導強化が求められる。 重篤な病気の見逃しリスク:例外的に公的医療保険の対象とするケースを設定。

医師会が反対する「本当の理由」

薬局で入手できる医薬品は処方の対象とせず、市販薬に再分類することで公的医療保険の負担が軽減できる。現在の制度では、患者が(診察代を含めると)安価な市販薬を選択しにくい状況が生まれており、これが医療費増加の一因となっている。

制度の見直しにより、セルフメディケーションの促進と保険財政の健全化が期待されるが、患者の自己負担増加や医療の質の低下を防ぐための対策も必要である。