その結果、弁当や食事の器としてプラスチック容器を頻繁に使用する人々の間で、うっ血性心不全のリスクが有意に高くなっていることが判明しました。
うっ血性心不全とは、心臓のポンプ機能が低下して血液を全身に送り出せなくなり、血液が滞留する病気です。
息切れやむくみ、倦怠感、食欲不振などの症状が現れます。
その2:ラットを使った実験
次に、研究者たちはラットを対象とした実験を行いました。
1:プラスチック容器に沸騰したお湯を1分、5分、15分間入れ、それぞれの水を別々のラットに数カ月間飲ませる
2:その後、ラットの腸内細菌叢と糞便中の代謝物を分析し、変化を観察
3:ラットの心筋組織を調べ、損傷がないかを確認
その結果、プラスチック容器から溶出した化学物質を含む水を飲んだラットの腸内環境が大きく変化し、炎症を引き起こす腸内細菌の増加が確認されました。
さらに心筋組織に損傷が見られ、心血管系への影響が示されました。
このことから、プラスチック容器から発生した化学物質が腸内に取り込まれ、腸内細菌のバランスを崩すことで、心不全のリスクを高めていると考えられます。
なお、1分間プラスチック容器に接触した水と、5分・15分間接触した水では、ラットに与えた影響に統計的な差は見られませんでした。
つまり、短時間でもプラスチック容器から有害物質が溶け出す可能性があるということです。
私たちはどうすればよいのか?
この研究では、具体的な消費者向けの推奨事項までは示されていませんが、公衆衛生の専門家は以下のような対策を推奨しています。
・電子レンジでプラスチック容器を加熱しない
・熱い食品を直接プラスチック容器に入れない
・ガラス、木製、ステンレス製の食器や容器をなるべく使うようにする
・テイクアウトの際は、自分で持参したガラス容器を使うか、帰宅後すぐに食品を移し替える
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テイクアウトやコンビニ食を完全に避けるのは難しいですし、完全にプラスチック容器の弁当を止める必要もないでしょう。