実際は小惑星?しかしその特徴が話題に

 この物体について、UFO研究家のスコット・ウェアリング氏が2023年12月にYouTubeで「これは単なる小惑星ではなく、金属製の円盤のように見える」と主張。さらに「この円盤からは2つの長方形の小型UFOが飛び出しており、それらが周囲を回っている」と述べたことで、一層の注目を集めた。

 しかし、NASAの見解は異なる。この物体は「2003 UX34」という小惑星であり、地球に衝突する危険性があることから「潜在的に危険な小惑星」と分類されている。実際、2025年1月7日には地球から約1849万キロメートルの距離を通過した。拡散された画像は、この接近を受けて再び注目を集めたものであり、TikTokやYouTube、X(旧Twitter)で多くの議論を巻き起こした。

 さらに、この小惑星は「二重小惑星」と呼ばれる種類に分類される。これは主星となる小惑星の周囲を、さらに小さな衛星が回っているタイプの天体だ。地球近傍天体(NEO)の約15%がこのような衛星を伴っていることが確認されており、決して珍しい現象ではない。

 円盤のように見えるのは、レーダー画像の特性によるものだ。小惑星の本体が高速回転しているため、ドップラー効果によって画像が左右に引き伸ばされる。一方、周囲を回る小型の衛星は回転速度が遅いため、画像上では細長く見える。こうした物理的な要因が、まるで「母船とその周囲を飛ぶ小型UFO」という幻想的な構図を生み出したのだ。

地球へ接近する巨大なUFOを発見!?——拡散した画像の真相とは
(画像=イメージ画像 Created with DALL·E、『TOCANA』より 引用)