ちなみに、Windliftの機体が8の字飛行をするのには明確な理由があります。

この軌道を描くことで、機体は常に最適な角度で風を受けることができ、揚力と推進力を最大限に引き出せるのです。

電力供給なしで飛び続ける?Windliftの利点とは

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Windliftの飛行の様子 / Credit:YouTube(New Atlas)_Windlift aerial electricity generator(2025)

Windliftの機体は、離陸時や飛行ルートの調整時に一時的に電力を必要としますが、一度飛行を開始すると、追加の電力をほとんど必要としません。

8の字飛行により、風の力と揚力を最大限に活用できるためです。

飛行に必要な電力は少なく、飛行中に発電される多くの電気は地上へと送られるのです。

「飛行機」というよりも「凧あげ」を想像すると、理解しやすいかもしれません。

この機体は、凧が舞い続けるのと同じように、空を飛び続けることができるのです。

当然、飛び続けるには機体の重量が小さくなければならず、機体を巨大化することはできません。

発電量は環境条件によって変動しますが、1機あたり30kWhの発電が可能となっています。

この数字は、アメリカの平均的な家庭の1日の使用量を賄うのに十分なものです。

発電量は今のところ個人レベルですが、Windliftには環境負荷を大幅に軽減できるという利点もあります。

従来の風力発電では、巨大なブレードが鳥類に衝突する問題が指摘されていましたが、Windliftはそのリスクが低くなります。

また、風車のように景観を損なうこともなく、都市部や自然保護区の近くでも利用が可能です。

さらに、設備の設置や撤去が容易であり、特に離島や僻地のような従来の電力インフラが整っていない地域での活用が期待されています。

そしてWindliftはかなり安価であり、Windlift社は、「従来の風力タービンよりも約80%安くなる」と主張しています。

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機体を飛ばすには申請や許可が必要になるはず……課題も多い / Credit:Windlift