写真というメディアは、現実と虚構の境界を曖昧にする力を持つ。白黒の心霊写真から、幻想的な多重露光まで、写真はしばしば私たちの目の前にありながら、異世界への扉を開く存在となってきた。そして、今回紹介するのは、そんな数ある写真の中でも特に奇妙なもの――「史上最古のUFO写真」とされる一枚だ。
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1870年に撮影された「UFO写真」
この写真が世間の注目を集めたのは2002年のことだった。eBayに出品されたこの一枚の写真は、「1870年に撮影された史上最古のUFO写真」として話題となり、インディペンデント・インターナショナル・ピクチャーズ・コープの社長であるサミュエル・M・シャーマン氏によって385ドルで落札された。写真はセピア調で、そこには葉巻型の物体が空に浮かんでいるように見えた。
この不思議な写真は、すぐさま多くのUFO研究家たちの関心を引いた。一部の専門家は、写真の撮影年代が正確であり、加工された痕跡がないことを指摘し、「本物のUFO写真」である可能性を示唆した。また、この物体が単なるUFOではなく、母船であるとする説まで登場した。母船は小型UFOを運搬するとされており、SF映画などでもよく描かれる存在だ。さらに、物体には「鉤十字(スワスティカ)」のような模様があると主張する者も現れ、UFO陰謀論を扱う雑誌やウェブサイトで大きな話題となった。