■ 超高層ビルに異例のバルコニー
完成当時、高さ60メートルを超える建築物は「超高層建築物」とされていました。Honda青山ビルの高さは72メートル。そのビルの特徴の一つに、一般的に超高層のオフィスビルに存在しない「バルコニー」があります。
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(画像=『AUTO PROVE』より 引用)
これも本田宗一郎氏の想いによって導入されたもの。当初要求したものは「絶対に割れないガラス」でしたが、当時の技術では不可能で、代わって取り入れたのがバルコニーです。これは災害時に割れたガラスで通行人がケガをしないためで、飛散したガラスの落下防止の役割があり、延焼防止、避難経路としても機能しています。
Honda青山ビルは建築基準法上で必要とされる階段(避難経路)は本来2つですが、3つ目の階段があるのも安全思想によるものでしょう。また、ビル内のサインが印象的なデザインをしていることも特徴です。これはいざ避難する時、人はパニックに陥り避難経路がわからなくなることを考慮したもので、日常的に目にする中で自然と印象に残るデザインにしています。
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(画像=『AUTO PROVE』より 引用)
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単なるオシャレではなく、デザインにも安全への狙い(画像=『AUTO PROVE』より 引用)
■ 応接室はホンダの迎賓館
世界的企業として海外からの来客を迎える応接室は16階にあります。この空間に求めたのは「国際的であること」「奇をてらわず合理的であること」。豪華な装飾や美術品はありません。
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(画像=『AUTO PROVE』より 引用)
ビル完成の翌年1986年に英国王室のチャールズ皇太子、ダイアナ妃が来日した際はパレードの出発地点に選ばれ、この応接室は休憩場所として提供されたそうです。
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隣接する部屋へのつながる壁の角に丸みをある木材を用いているのも人へのやさしさが感じられる(画像=『AUTO PROVE』より 引用)