実験の結果、ハンドヘルド端末を使用した場合のほうが、チップの額が平均1.3%高くなることが判明しました。
しかし、再来店率はカウンタートップ端末を使用した場合よりも約25%低下していました。
つまり、「チップの圧力」でその場の収益は増えるが、長期的には顧客を遠ざける 可能性があるのです。
次に研究チームは、オンラインでのシミュレーション実験を通じて、顧客の心理的反応を分析しました。
その結果、チップを支払うとき、店員が見ている状況では、 多くの人が「強制されている」「自由に決める権利が奪われた」「チップを支払っても寛大な気持ちになれない」と感じることが分かりました。
特に、「強制された」と感じた顧客は、その店に戻る意欲が大幅に低下すると判明しています。
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今回の研究は、「チップの圧力」がビジネスに与える影響を示した画期的なものです。
「チップを支払うように」という圧力が強いと、短期的には売上が向上するかもしれません。
しかし、顧客は「強制的にチップを支払わされた」と感じるため、その店を避けるようになり、長期的には収益が落ちる可能性が高いのです。
この研究は、チップ文化が根付いている国々だけでなく、日本にとっても興味深い示唆を与えます。
日本では、飲食店やホテルなどでサービス料があらかじめ料金に含まれているため、チップを支払う必要がありません。
そのため、顧客は会計時に心理的プレッシャーを感じることなく、支払いを終えることができます。
もちろんチップ文化には、スタッフに「良いサービスを提供する」というプロ意識が育まれるなど、様々な利点があります。
こうした文化的な違いは、日本と海外のサービス業の在り方を比較する上で興味深い視点を提供してくれます。
あなたは「チップの文化」はあった方が良いと思いますか?それとも無い方が良いですか?