EUのデジタルサービス法における「偽情報」=disinformationは、意図的なものというニュアンスがあり(定義されてない上に本則上の用語ではない)、一般的にもそのような定義を用いる例があります。それとは別に、そのような意図を持たずに発信した情報を「誤情報」(misinformation)と定義する事例がありますが、こうした切り分けが常例と言えるほどの社会実体があるのかどうか。意図の無いことを装った、上掲の意味での意図ある偽情報などいくらでもある。

なぜ、朝日新聞は「偽情報」に固執するのでしょうか?

その判断は、いったい誰が行うのでしょうか?

既にMetaがファクトチェック機関の政治的偏向によって多くの正当な政治的言論が検閲的な状態だったと主張し始めていますが、「情報の真偽」をベースにした不可視化措置や公権力による制裁は、非常に危ういものになるでしょう。

朝日新聞の書きぶりでは「有害だが違法とはいえない偽情報」を取り締まった方が良い効果をもたらすと考えているようですが、その論法ならば、この朝日新聞の記事も削除・制裁金の対象となっても良いということになります。

テレビや新聞の誤報は偽・誤情報の対象外にしろと言うJFCの水谷瑛嗣郎

偽情報をめぐる法規制に詳しい関西大准教授(憲法学)の水谷瑛嗣郎(38)は「偽情報が生み出す悪貨の循環を断ち切るべきだ」と話す。「偽情報の市場」が成立してしまっており、「偽情報での金もうけ」を止めることが重要だという。

 SNS事業者と広告業界が公開の場で協議し、「偽情報による金もうけ」を止めるためのルールを作る。政府はルール策定の議論には介入しないが、SNS事業者にルール作りに参加し、情報を開示するよう促す。政府が対話を重ねても、協力しない事業者には課徴金などの制裁も視野に入れる――。

「偽情報の市場」が成立しているため、偽情報での金もうけを止めることが重要。