この問題を明確に示すため、ロバート・ブライス氏は、「再エネ拒絶データベース(Renewable Rejection Database)」を構築した。このデータベースは、ブライス氏が2015年からアメリカ各地で拡大する風力・太陽光発電施設に対する住民の反発の記録を残すために作成したものだが、メイン州からハワイ州に至る771件のプロジェクトの拒絶や制限が記録されており、無料で公開されている。

出典:Renewable Rejection Database

上図によれば、2020年から拒絶の数が急激に拡大しているのがわかる。その理由は、風力・太陽光発電の大規模な導入には膨大な土地が必要であり、土地を奪われたり立ち退きを強いられたりするという理由で、それらの発電設備に対する反発が生まれ、拡大の限界となっているというのである。

基本的な話として、政府や環境活動家は再生可能エネルギーを推進しているが、これらの発電方法は天候に依存しているため、経済に必要とされる安定した電力供給を保証できるわけではない(太陽光設備利用率:約17%)。「土地利用の対立」という事実もあるが、真相を知った上で、地元住民の反発が広がっているという流れは驚くに当たらない。

この問題をさらに詳細に分析するため、ブライス氏は、新たにグローバルなデータベース「Global Renewable Rejection Database」を構築した。このデータベースには、アメリカ国内の反発のみならず、世界各地で進行する風力・太陽光発電への反対運動を追跡している。

2023年以降、欧州、インド、オーストラリア、韓国、ギリシャ、カナダなどで少なくとも72件のプロジェクトが拒否・制限されているが、実際の拒絶件数は20~30%多い可能性があるとのこと。

出典:Global Renewable Rejection Database

この「Global Renewable Rejection Database」は、有料サブスクリプションサービス「Substack」で提供されている。