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気候変動対策のひとつとして、世界各地で大規模な太陽光発電や風力発電プロジェクトが計画されている。しかし、経済的要因や政策の変更、環境への影響などから、こうしたプロジェクトが撤退や中止に至っているケースも多い。

有名な事例を挙げると、

アメリカ・マサチューセッツ州の「ヴィンヤード・ウィンド1,200プロジェクト」

ヴィンヤード・オフショア社は、マサチューセッツ州で計画していた800メガワットの洋上風力発電プロジェクト「ヴィンヤード・ウィンド1,200プロジェクト」から撤退した。主な理由として、コネチカット州が残りの400メガワットの購入を見送ったことが挙げられる。

デンマーク・オーステッド社の洋上風力事業縮小

デンマークのエネルギー企業オーステッドは、2024年に最大800人の人員削減を行い、ノルウェーなど3カ国からの撤退を決定した。背景には、世界的なインフレによる開発コストの増加や、米国事業の悪化があった。

ノルウェー・エクイノール社のフランス洋上風力プロジェクト撤退

ノルウェーのエネルギー企業エクイノールは、2024年9月にフランスで計画していた洋上風力発電事業からの撤退を決定した。主な理由として、開発コストの増加や政策の不確実性が挙げられる。

ラテンアメリカ・セルシア社の風力・太陽光発電プロジェクトの見直し

ラテンアメリカの7カ国で風力・太陽光発電所の開発を計画していたセルシア社は、風力資源や設備容量、生産可能率、送電系統データ、地形などを評価した結果、一部のプロジェクトの見直しや中止を決定した。

これらの事例は、再生可能エネルギーの大規模プロジェクトが経済的、政策的、環境的要因により影響を受けていること、プロジェクトの成功には、綿密な計画とリスク管理が不可欠であることが示されている。

さらに、別の側面として、風力・太陽光発電の大規模開発によって景観破壊が顕著となっているため、こうした抵抗が世界中で拡大し続けている。