ニーズを重視した開発
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新しいMHEV plusによる利点として、スタートストップ機能の進化による快適性の向上、排出ガスを出さない無動力走行、エネルギー回生、電動パーキングや低速走行時の部分的なEV走行、そして内燃エンジンを電動サポートすることによる性能向上などが挙げられる。
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この技術により、完全EV走行が可能になり、例えば、都市内を低速で走行する場合や、郊外での渋滞中、あるいは市街地に近づく際など、内燃エンジンを長い時間停止させたままにすることができる。さらに、PTGが低速時でも最大230Nmの駆動トルクを発揮するため、車両のスタートアップ時の応答性が大幅に向上し、よりスムーズで俊敏な動きを実現する。
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静止から最高140km/hの速度域では、PTGが内燃エンジンをサポート。これにより、MHEV plusは最大18kWの追加出力を生み出しし、内燃エンジンが可能な限り効率的に動作できるようになる。
この速度域から車両が停止する際には、減速ブレーキ回生を通じてPTGは最大25kWのエネルギーを回生。通常は摩擦ブレーキを使用することなく、最適な回生ブレーキを実現。また、電動エアコンプレッサーを採用しており、信号待ちなど内燃エンジンが停止中でもエアコンシステムを継続的に作動させることが可能だ。
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BAS、リチウムイオンバッテリー、iBRS(統合ブレーキ制御システム)のコンビネーション
MHEV plusテクノロジーの構成では、BASはエンジンの始動やバッテリーへの電力供給を担当する。ベルト駆動はピニオンスターターに比べて音響面での利点があり、内燃エンジンの始動をより早めることにより、燃費が向上するとともに、快適な始動を実現。また、BASはエンジン停止中にエネルギーを回収し、再始動時に最適なシリンダー位置を確保する役割も果たしている。
バッテリーは、LFP(リン酸鉄リチウム)を使用しており、約1.7kWhに相当する37Ahの容量を持っている。最大放電出力は24kW。なお、アウディがマイルドハイブリッドシステムにLFPバッテリーを採用するのは、今回が初となる。
iBRSは油圧力をかけないブレーキを実現し、機械式ブレーキを使用せずに回生ブレーキによる減速を行なう。ブレーキペダルを強く踏み込んだ場合のみ機械式ブレーキが作動。しかもこの協調システムは、ブレーキフィールにも何ら違和感はない。