・スカイ フェニックス 19mの高さから、ワイヤーロープに吊り下がり沖縄の空を280m滑走する、というもの。いわゆる(アスレチック施設や遊園地でおなじみの)「ジップライン」だ。やんばるの大自然に向かってダイブするのは、まさしく“空を飛ぶ体験”だという。

左:志摩グリーンアドベンチャー「ジップダイブ」(志摩グリーンアドベンチャー公式サイトより) 右:ジャングリア「スカイフェニックス」(イメージ画像 プレスリリースより)

吊り橋、気球、バンジージャンプ、そしてジップライン。いずれも、他所で体験できるアトラクションだ。例えば、三重県の志摩グリーンアドベンチャーの「ジップダイブ」は、ジャングリアと同様に、うつ伏せ姿勢で滑空するタイプのジップラインだ。高低差50m、滑空距離620mと、どちらもジャングリアの倍以上である。

つまり、ジャングリアのアトラクション自体は、決して特別なものではない(よって投資額は700億円と、比較的低めに抑えられている)。

特別なのは景観だ。世界遺産「やんばる」の大自然を眺めながら、アトラクションを楽しめることが特別なのだ。だからこそ、景観に注力したイメージ映像を作り、プレスリリースで、

ジャングリア沖縄は「やんばるのジャングル」の中に姿を現します やんばるを擁する沖縄北部の圧倒的な大自然を舞台 やんばるの大絶景の中で、その地にしかない体験を通して生まれる”興奮”

と訴求する。結果、「地味なアトラクション」が「人生でいちばん心たかぶる体験」になるのだ。

認知形成とはなにか

森岡氏の著書では「認知形成」という言葉が頻出する。商品購入後の満足度を高めるため、購入前に商品の魅力をアピールし「刷り込むこと」を意味する。

イメージ映像もさることながら、プレスリリースの言葉の巧みさだけでも、ジャングリアの魅力が刷り込まれそうだ。だが、その言葉の使い方に疑問符が付けられている。

ジャングリアの所在地は「やんばる」か