未来の地球に酸素はないかもしれません。
2021年3月1日に『Nature Geoscience』に掲載された論文では、10億年後の地球では酸素濃度が現在の1%未満になる可能性が報告されています。
どうやら豊富な酸素がある状態は、地球の寿命全体のの20%~30%の期間に過ぎないようです。
いったい何が原因で、地球から酸素が失われてしまうのでしょうか?
目次
- 地球上の酸素は10億年後に失われる
- 膨張する太陽が二酸化炭素を奪い植物を根絶やしにしていく
- 酸素呼吸する生物は儚い存在
地球上の酸素は10億年後に失われる

現在の地球大気には20%を超える酸素が含まれています。
しかし意外なことに、地球の歴史において大気中の酸素が豊富にあった時代はごく限られていました。
生物が利用可能な濃度にまで酸素が増えたのは4.5~4.3億年ほど前であり、これは地球の年齢(45億歳)に比べると「最近の変化」といわざるを得ません。
つまり、何かの拍子に再び無酸素化しても、おかしくないのです。
そこで日本の研究者たちは地球大気の将来を予測することにしました。
予測するにあたってはまず、過去6億年から40万通りのシナリオを含むシミュレーションをおこないました。
シミュレーションの変数には生物活動だけでなく、海洋、大気、マントル、太陽活動も含まれており、非常に包括的なものとなります。
結果、4800通りのシナリオが、6億年ぶんの検証を突破して現在の大気条件にほぼ一致することが判明し、未来の予測に使用可能であることがわかりました。
次に研究者たちは、これらのシナリオ(4800通り)に対して、10億年後の様子を算出させました。
すると、非常に衝撃的な事実が判明します。