今回の研究により、長年謎だった「過敏性腸症候群」の原因が、ポンコツ状態になった細胞の「間違った学習」が引き起こした誤作動だったことが示されました。

またこの結果から、ヒスタミンの分泌を防ぐ効果がある抗ヒスタミン薬が過敏性腸症候群に効くことが示唆されました。

研究者たちは今後、伝統的に言われてきたストレスや睡眠不足といった要因が、ヒスタミン分泌と関係があるかどうかを調べていくとのこと。

ストレスや睡眠不足がヒスタミン分泌につながる場合、間接的ではあるものの、古くから言われてきた原因が再評価されることになるでしょう。

また、現在深刻な過敏性腸症候群に苦しんでいるなら、腹痛を起こしているときに食べたものをメモすると良いかもしれません。

原因となっている食材をあぶり出すことができるでしょう。

もしかしたら、意外な食べ物が過敏性腸症候群を引き起こしているかもしれませんね。

全ての画像を見る

参考文献

Scientists May Have Finally Found a Key Mechanism Behind Irritable Bowel Syndrome
https://www.sciencealert.com/researchers-have-sussed-out-a-driving-mechanism-behind-irritable-bowel-syndrome

元論文

Local immune response to food antigens drives meal-induced abdominal pain
https://doi.org/10.1038/s41586-020-03118-2

ライター

川勝康弘: ナゾロジー副編集長。 大学で研究生活を送ること10年と少し。 小説家としての活動履歴あり。 専門は生物学ですが、量子力学・社会学・医学・薬学なども担当します。 日々の記事作成は可能な限り、一次資料たる論文を元にするよう心がけています。 夢は最新科学をまとめて小学生用に本にすること。