過敏性腸症候群は一般には、食事をとると急にお腹が痛くなることで知られる「よくある」症状です。
これまでストレスや不摂生が引き起こすのではないかと言われてきましたが、詳しいメカニズムは最近までよくわかっていませんでした。
しかし2021年1月13日に『Nature』に掲載された論文によって、生物学的・医学的な原因が解明されました。
いったい何が、私たちのお腹をゴロゴロさせ、トイレに駆け込ませてきたのでしょうか?
その原因は誤作動を起こしてしまった「ポンコツ免疫」のせいでした。
目次
- 長年原因不明だった「過敏性腸症候群」
- 原因不明の要因は論理パズルの落とし穴だった
- 全てはポンコツ免疫の誤った学習のせいだった
- 過敏性腸症候群を防ぐには抗ヒスタミン薬が重要
長年原因不明だった「過敏性腸症候群」
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過敏性腸症候群は5人に1人が経験するという、非常にありふれた症状です。
その始まりは普段の何気ない食事から。
食事をとってすぐに、急にお腹がゴロゴロしはじめ、トイレに駆け込みたい衝動にかられます。
原因は一般的に、睡眠不足やストレス、栄養の偏りなどと言われていました。
しかし睡眠不足もストレスもなく、栄養学的に完璧な食事をとっていても過敏性腸症候群は発症します。
なかにはリンゴとチーズを食べた時だけに発症するという、奇妙なケースも存在したとのこと。
そのため、過敏性腸症候群をめぐっては、怪しい療法や意味不明な食事制限を推奨する確証のない医学がはびこる事態になっています。
しかし残念ながら、それらニセ医学を完璧に否定することもできませんでした。
誰も生物学的・医学的な原因を知らなかったからです。
原因不明の要因は論理パズルの落とし穴だった
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