「100年後にまた会おう… 」
SF世界でよく見られるコールドスリープが実現すれば、そんなキザな台詞も言えるようになるでしょう。
しかし残念ながら、人体冷凍保存の技術はいまだに完成していません。
人体冷凍保存とは、現在の医療では治癒不可能な人体を冷凍し、未来の医療の発展を待った後で人体を解凍・治療しようという考え方です。
この解凍技術の発明がネックになっているのですが、一方で人類はすでにいくつかの人体を実際に冷凍保存しています。
そこで今回は世界で最初に冷凍保存された男「ジェームズ・ベッドフォード」について見ていきましょう。
彼は今もなお、冷凍された状態で復活の時を待っているのです。
目次
- 人体冷凍保存を決意するまで
- 冷凍保存された世界初の人物となる
人体冷凍保存を決意するまで

ジェームズ・ハイラム・ベッドフォード(画像はこちら)は1893年4月20日に、米マサチューセッツ州ピッツフィールドに生まれました。
彼の人生は教育と冒険に満ちたものでした。
4歳のときに命を脅かすジフテリアにかかり、数週間におよぶ闘病生活を送りました。
回復後は勉学に励み、名門カリフォルニア大学バークレー校で心理学や教育学を学び、のちに高校教師をしながら、教育学の博士号を取得します。
ジェームズの専門は職業訓練とキャリア開発であり、この分野に関する著書をいくつも出版しました。
彼は1938年の取材で、こう語っています。
「多くの若者が未来に対して疑念や悲観、不安を抱えています。私はそれを少しでも和らげたいのです」
ジェームズは若者たちの将来を支援する一方で、世界中を旅して回りました。
アフリカでサファリを楽しんだり、南米の熱帯雨林を探検したり、ヨーロッパ各地を飛び回ったりと、冒険心旺盛な人物でした。
彼は順調な人生を送っていましたが、70代になってついに病に冒されます。
末期のがんでした。