農水省がこのあたりをどう手さばきするかですが、ウルグアイラウンドの77万トンの枠のうち、食用を増やせばよいだけの話でそんなに小難しい話をしているとは思えないのですが、こういうことには社会が暴動的な声をあげない限り役人は動かない、米問屋も「うちにはない」と知らんぷりなのでしょう。

ところで、この10万トン枠とは関税の枠組みであり、輸入制限されているわけじゃないのです。キロ当たり341円の関税を払えばいくらでも輸入できます。上記10万トン枠は無税ですが、政府が手数料みたいなものを課しており、それがキロ当たり292円。つまり枠を超えても実質的には49円しか違わないわけです。円安のデメリットを乗り越えても今はカリフォルニア米のほうが競争力はあります。ただし、国内が本質的なコメ不足ではなく、米一揆にならない現代版米騒動というか、米問屋のせこいビジネスが背景です。

私が気になるのは食べ放題店が増えたことで当然、米もその一環にあること。そして食べ放題経営につきものの廃棄が多く、米も多くが無駄になっていやしないだろうかという点です。昨年の朝日新聞の記事にはコンビニ、スーパー、食品会社から持ち込まれる廃棄米は一日おおよそ8トンだと報じています。この記事の信憑性については十分検討しなくてはいけませんが、それぐらい廃棄されているということでしょう。炊飯米だけで8トンだとすれば米で計算すれば仮におおざっぱに水分含有量が50%として4トン程度が廃棄されているという計算になります。もったいないです。

将来的な話をするにはファクターが多いのですが、一つは気候変動のリスク、もう一つはコメ食が今後どう変化するかであります。私が小さい頃はコメ生産の北限は東北地方と学校で習ったものですが、今では北海道産も高い人気があるほどです。コメ食についてはパンやパスタなどが増え、また健康管理上、過剰な炭水化物摂取は良くないという声からコメの消費は人口低下のトレンドに沿うとみています。ただ、近年のおにぎりブームなどでマーケティング的にコメの消費が増えていることは一時的な消費増大となっているのでしょう。