さらに、抗精神病薬の投与量が多いほどコントラスト感度の低下が顕著であったことは、薬物療法の影響を考慮した視覚認知の評価が必要であることを示しています。
この研究は、統合失調症の視覚機能に関する理解を深めるとともに、今後の診断や治療の改善に貢献する可能性があります。
特に、コントラスト感度の測定が、統合失調症の診断補助や、病状の進行をモニタリングする指標として役立つかもしれません。
今回調査された研究は、治療中の患者が対象だったため、服薬による影響をもっと明確にするためには、未治療の患者を対象としたさらなる研究が必要になるでしょう。
統合失調症の相手の表情が分からないなどは、相手の感情への共感性の低下など心の問題から生じる印象がありましたが、実際は視界がぼやけるという生理的な問題で生じていた可能性があります。
認知が歪むなどの心の病特有の問題の一部は、精神の問題ではなくもっと明確な身体の症状から回復させられる可能性もあるかもしれません。

こうした症状の特徴が明らかになっていけば、精神疾患の治療効果が高まり、本当に今までとは景色が違って見えるようになるのかもしれません。
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参考文献
Study Links Schizophrenia to Visual Contrast Sensitivity Deficits
Study Links Schizophrenia to Visual Contrast Sensitivity Deficits
https://neurosciencenews.com/visual-contrast-schizophrenia-28390/
元論文
Neural empathy mechanisms are shared for physical and social pain, and increase from adolescence to older adulthood
https://doi.org/10.1093/schbul/sbae194