その結果、HA2群では、ハイドロゲルを注入した部位で骨密度が2~3倍に増加しました。

さらに、HA2-ZOLを使用した場合、最大4.8倍の増加が確認されました。

この効果は、わずか2~4週間でピークに達し、長期間持続することが分かりました。

また、従来の治療法と違い、全身への影響が少なく、副作用のリスクも低いことが示されました。

手術が必要なく、簡単に適用できるというメリットもあります。

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将来、骨粗鬆症とそれに伴う骨折を減らせるかもしれない / Credit:Canva

今回の研究が示した「ヒドロゲル注射による骨密度の向上」は、骨折予防に革命をもたらす可能性があります。

とはいえ、まだラットでの実験段階にあるため、ヒトへの応用には臨床試験が必要です。

また、どの患者に適用すべきか、治療コストをどう抑えるかといった課題も残っています。

それでも、もしこの治療が実用化されれば、「注射1本で骨折リスクを劇的に下げる」ことが可能になるかもしれません。

高齢化が進む社会において、今回の研究は骨折による寝たきりや生活の質の低下を防ぐ重要な一歩となるでしょう。

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参考文献

An injectable hydrogel for local bone densification
https://actu.epfl.ch/news/an-injectable-hydrogel-for-local-bone-densificatio/

“Injectable bone” gel may be a radically better treatment for osteoporosis
https://newatlas.com/disease/injectable-hydrogel-bone-density-osteoporosis/

元論文

Combining systemic and local osteoporosis treatments: A longitudinal in vivo microCT study in ovariectomized rats
https://doi.org/10.1016/j.bone.2024.117373