これまで骨粗鬆症の治療法としては、骨吸収のスピードを低下させるか、骨形成を促進させる全身薬が使用されてきました。
しかし、これらの治療は即効性がなく、効果が出るまで1年ほどかかる場合もありました。
また、長期使用による副作用や費用が高いといった問題もありました。
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そこで、研究チームは「骨折リスクの高い部分をピンポイントで強化する新たな治療法」として、ハイドロゲルを用いた局所的な骨強化技術の開発に取り組みました。
ハイドロゲルは、水分を豊富に含んだゲル状の材料で、今回の研究では、体内で自然に生成される粘着性の物質「ヒアルロン酸」と、骨組織の主成分である「ハイドロキシアパタイト」を組み合わせた特殊な配合が用いられました。
このゲルは「HA2」と呼ばれ、骨の成分に似た特性を持ち、骨の弱った部分に直接注射することで、局所的に骨密度を向上させることができます。
さらに、骨を壊す働きを抑える「ゾレドロン酸(ZOL)」を加えた「HA2-ZOL」というバージョンも開発され、これにより骨の吸収を防ぎながら、新しい骨の形成を促すことが可能になりました。
ハイドロゲル注射で骨を強化する新たな治療法を開発!
今回の研究では、骨粗鬆症モデルのラットを用いて、開発されたゲルが骨密度を向上させるか検証しました。
実験では、研究チームは、ラットの骨にハイドロゲル「HA2」や「HA2-ZOL」を注射し、マイクロCTを使って骨密度の変化を詳細に分析しました。
また従来の全身薬も用い、治療効果の違いも確認しました。
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