彼はロイドに対して「このニワトリを使って、ひとつ金儲けをしようや」と持ち掛けました。
ロイドの方も農場の経営が苦しかったので、「よし、やってみよう」とこの誘いに乗ります。
このとき、ニワトリを「首なしマイク」と名付けたのはウェードでした。
そしてウェードとオルセン夫妻は首なしマイクを連れて、全米の巡業ツアーに出ます。
行く先々で首なしマイクは人々の話題をかっさらいました。
マイクの見世物の入場料は25セントであり、1カ月に約4500ドルの収益を上げたといわれています。
これは当時の価格価値からするとかなりの売れっ子です。
さらに驚くことに、首なしマイクはその後18カ月間も元気に過ごし続けます。
しかしそうは言っても、首のない状態で生き続けるのは無理がありました。
1947年3月、ついにマイクは死んでしまいます。
マイクはどうやって餌を食べ、なぜ死んだのか?
マイクは首がないものですから、普通のニワトリのようにクチバシから餌を食べることはできません。
そこでオルセン夫妻はマイクの剥き出しになった食道に液体状にした餌や水をスポイトで直接流し込んで、栄養を与えていたのです。
加えて、夫妻はマイクが窒息してしまわないよう、喉に溜まる粘液を逐一取り除き、安定して呼吸を確保できるように注意していました。
ところが1947年3月のある晩、オルセン夫妻はマイクが喉を詰まらせている不吉な音で目を覚まします。
直ちに喉に詰まった粘液を吸い出そうと、いつも使っていた注射器を探しますが、不幸なことに夫妻は注射器を見世物小屋に忘れてきてしまったのです。
代わりになるものを急いで探しましたが、もう手遅れでした。
マイクは喉を詰まらせて窒息死してしまったのです。
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そもそもマイクは他のニワトリと同様、鶏肉として出荷される運命だったので、予想外に長生きできたことにはなります。