オフロード走行でこそ本領を発揮!かつてない走りを実現したBEVの「Gクラス」

メルセデス・ベンツ日本合同会社による「Gクラス」の試乗会が富士ヶ嶺オフロードで開催されました。オフロード試乗に先立って説明会も開催され、試乗モデル間での差が大きいのは、最低地上高がディーゼルエンジンモデルの230mmに対してBEVモデルは250mm、渡河性能が同700mmに対して同850mmといったところです。

今回のオフロード試乗では、急な登り坂や下り坂の斜面、ボコボコとしたモーグル、沼池、岩地といった特設のオフロードコースでディーゼルエンジンモデルの「G 450 d」とBEVモデルの「G 580 with EQ Technology Edition 1」を比較する機会が得られ、「Gクラス」の持つオフロード走破性の高さ(凄まじいポテンシャル)とBEVの4輪独立式モーターによるかつてない革新的走りも確認することができました。

初のBEVモデルもデビュー! メルセデス・ベンツの別格オフロードモデル「Gクラス」【自動車業界の研究】
Gクラス モデル比較の説明(画像=『CARSMEET WEB』より 引用)
初のBEVモデルもデビュー! メルセデス・ベンツの別格オフロードモデル「Gクラス」【自動車業界の研究】
富士ヶ嶺オフロードのコース(画像=『CARSMEET WEB』より 引用)
初のBEVモデルもデビュー! メルセデス・ベンツの別格オフロードモデル「Gクラス」【自動車業界の研究】
オフロード登り坂走行(Mercedes-Benz)(画像=『CARSMEET WEB』より 引用)
初のBEVモデルもデビュー! メルセデス・ベンツの別格オフロードモデル「Gクラス」【自動車業界の研究】
オフロード下り坂走行(Mercedes-Benz)(画像=『CARSMEET WEB』より 引用)
初のBEVモデルもデビュー! メルセデス・ベンツの別格オフロードモデル「Gクラス」【自動車業界の研究】
オフロードモーグル路走行(Mercedes-Benz)(画像=『CARSMEET WEB』より 引用)
初のBEVモデルもデビュー! メルセデス・ベンツの別格オフロードモデル「Gクラス」【自動車業界の研究】
オフロード沼池走行(Mercedes-Benz)(画像=『CARSMEET WEB』より 引用)

試乗日は、午前中の雨によってオフロードコースがよりいっそうにぬかるんでいて、先ずはディーゼルエンジンモデルの「G 450 d」でコースを走ると、通常の乗用車ではとてもとても登れないと思える急な登り坂でも装備されたオフロード用のローレンジモード(減速比をハイレンジの1.00から2.93へ)及びDYNAMIC SELECTをRockモードでデフロック(前後及び左右)を用いることで、前もしくは後の片輪をズリズリと滑らせながら、10km/h以下のゆっくりした速度でも登っていくことができ、下り坂も安定していて、さすがは「Gクラス」と改めてそのオフロード走行性能のポテンシャルを伺い知ることができます。
そして、スタート時にISGも効果的に働く直列6気筒ディーゼルターボエンジンは振動も少なく、上質で迫力満点の音を奏でてくれるため、長年「Gクラス」に乗られてきた方にとっては安心感もあり、BEVモデルより500kg以上も軽いことからオフロードコースの特性によっては走破性がより高いといったケースもあると考えられます。

初のBEVモデルもデビュー! メルセデス・ベンツの別格オフロードモデル「Gクラス」【自動車業界の研究】
Gクラス オフロード試乗会(画像=『CARSMEET WEB』より 引用)
初のBEVモデルもデビュー! メルセデス・ベンツの別格オフロードモデル「Gクラス」【自動車業界の研究】
G 450 d試乗車(画像=『CARSMEET WEB』より 引用)

続いて、同じコースをBEVモデルの「G 580 with EQ Technology Edition 1」でオフロード用のローレンジモード(各輪のモーターそれぞれにトランスミッションが備わり減速比を2 : 1へ)、DYNAMIC SELECTをRockモード、回生レベルを減速も最大のD – -を用いて走ると、「G 450 d」ではズリズリとタイヤを滑らせながら登っていた急な登り坂を“オフロードクロール機能”と呼ばれるオフロード走行用の低速クルーズコントロール機能を用い10km/h以下のゆっくりした速度でも4輪のいずれも滑らせずに登ることができ、下り坂も安定していて、これぞ4輪独立式モーターによる恩恵だと感じる安定した走りを披露してくれます。
その安定感からも如何に緻密で細やかに各モーターを制御しているかを伺い知ることができ、その技術力の高さと新しい走りはBEVの「Gクラス」ならではと思わせます。悪路はデフロックを駆使して走るという既存の概念を覆すその走りは、BEVの4輪独立式モーターだからこそ実現できることを体感しました。

4輪独立の駆動制御は内燃機関のパワートレインにシステム(三菱自工のS-AWCやホンダのSH-AWD等の極めて高度な技術)を組み込むことでも実現されますが、電動でモーターを制御するにあたってはサーボモーター(一定角度を回転させて停止することができるモーター)でも証明されるように、内燃機関のそれとはレベル違いに緻密で素早く可能であると実感できます。

さらに、オフロード走行時に例えば前方に障害物が現れて前に進めなくなった場合等、左右の車輪を逆回転させることで左右いずれかの方向に自在に方向転換(その場で回転)することができる話題の“G-TURN”もBEVの4輪独立式モーターだからこそ実現できます(傾斜等で場所が不安定だと作動できず、公道では使用できませんと提唱)。
実際に“G-TURN”を行うには、ローレンジ&Rockモードで“G-TURN”のスイッチを入れ、Dレンジで回転したい側のパドルをひいてアクセルを踏めば回転を始めるのですが、その際にステアリングを真っ直ぐに保つというコツが必要で、少しでもステアリングを切ってしまうと機能はキャンセルされてしまいます(反射的にカウンターステアをあててしまうとキャンセルに)。
きちんと一回転できた時には、初めて体験する動きに感動すると同時に“G-TURN”が必須のシチュエーションにおいて失敗しないように、せっかくの機能をフル活用できることが大切だとも感じました。

“G-TURN”や同様にモーターの駆動トルクを個別で制御することで後輪軸を中心に旋回でき回転半径を小さくすることが可能なもう一つの新機能“G-STEERING”は、かつてない革新的機能(技術)としてとても魅力的で、こういった絶え間ない最新技術の搭載も「Gクラス」の真骨頂であると感じました。

初のBEVモデルもデビュー! メルセデス・ベンツの別格オフロードモデル「Gクラス」【自動車業界の研究】
G 580 with EQ Technology Edition 1試乗車(画像=『CARSMEET WEB』より 引用)
初のBEVモデルもデビュー! メルセデス・ベンツの別格オフロードモデル「Gクラス」【自動車業界の研究】
G-TURN①(Mercedes-Benz)(画像=『CARSMEET WEB』より 引用)
初のBEVモデルもデビュー! メルセデス・ベンツの別格オフロードモデル「Gクラス」【自動車業界の研究】
G-TURN②(Mercedes-Benz)(画像=『CARSMEET WEB』より 引用)

そして、雨の影響による増水で最も深いところでは水深800mmとも言われた沼池の走行については、「G 450 d」も「G 580 with EQ Technology Edition 1」も難無くクリア(走行)することができましたが、後でボンネットを開けてみて価格が2000万円、3000万円に迫るモデルのボンネット内部に泥水がかかっている様子が確認され、試乗会の趣として本格的にオフロードを走行した際の耐久性に対する自信の表れであるとは感じつつ、この後の車両メンテナンス(清掃)がとても大変だろうと思い、今回のオフロード試乗会からメルセデス・ベンツ日本合同会社は太っ腹!と感謝を思いました。

まとめとして、両モデルの走行フィールを全体で比較すると、ディーゼルエンジンモデルはとても力強く、スタート時のISGによるアシスト効果も確認でき、いかにも究極のオフローダーといった迫力の音と共に、直列6気筒エンジンによるバランスの良い回転の高まりが感じられて“ブワッ”とエンジンが吹けあがるところが魅力的で、対してBEVモデルはどういった状態でもとても大きいトルクが得られ緻密に制御される電動モーターならではのエンジンモデルでは味わえない走りやすさや走行時における安定感の高いところが魅力的です。
新次元の性能を持つBEVモデルにとって、あとは燃費(電費)が予測しづらいオフロードで充電~走行~再充電の経験則が構築されれば!といったところでしょうか。特筆すべきは、いずれの試乗車も快適で安心感の高いオンロード走行も担える標準装備のタイヤをもちろん装着していて、それでいて「Gクラス」ならではのオフロード走行時の圧倒的パフォーマンスは圧巻で素晴らしい走りでした。

初のBEVモデルもデビュー! メルセデス・ベンツの別格オフロードモデル「Gクラス」【自動車業界の研究】
G 580 with EQ Technology Edition 1試乗車のボンネット内部(画像=『CARSMEET WEB』より 引用)

ドリームカー「Gクラス」

「Gクラス」は日本において、もはや他を圧倒するステータスを確立しており、特に武骨で唯一無二の存在感を放つエクステリアは既に45年以上も不変的なデザインで、広義のfashionとしても魅力的で華が感じられるためか? 数多くの著名人が乗っていること、価格が最低でも2000万円近くて時には3000万円を超える場合もある高額モデルにも関わらず年間の販売台数が5000台を超える(2023年、2024年)こと、中古車価格(残価)が驚異的に高いことなど、ディーラーに行ってもなかなか手に入れることができない「Gクラス」は今や他に類を見ない唯一無二の存在です。
その卓越した性能のみならず様々な意味から、もはやドリームカーと言っても良いのではないでしょうか。一時は、「Gクラス」の後継? として「GL(後にGLS)」が登場した際には消滅も噂されていたものの、今や別格の伝説モデルとして継続されていくことは疑いようもなく、その「ブランドオリジナリティ」は圧倒的です。
世界に数多のモデルが存在する中、かなりの高額モデルである「Gクラス」ですが、あくまでも量産モデルで極少量生産車でないということも、ひときわその存在が抜きん出る理由のひとつで、「Gクラス」の持つ実力が長年にわたって伝統を育みブランドが形成され、“クルマがブランドを構築した”筆頭事例であると考えられます。

強力なブランド力を持つメルセデス・ベンツに「Gクラス」のようなモデルが存在することは“鬼に金棒”と言っても良いと感じ、いつの時代も数々のドリーム(夢)を提供してきた非日常感たっぷりの「Gクラス」が次に世に送り出すのは何か? に期待は膨らみます。

初のBEVモデルもデビュー! メルセデス・ベンツの別格オフロードモデル「Gクラス」【自動車業界の研究】
GクラスのBrand Originality(ABeam Consulting)(画像=『CARSMEET WEB』より 引用)

〔主要諸元〕
[G 450 d]
■全長×全幅×全高=4670×1930×1980(mm)〔※AMGラインパッケージ=4680×1985×1980(mm)〕
■ホイールベース=2890(mm)
■重量=2540kg〔※AMGラインパッケージ=2560kg〕
■乗車定員=5名
■パワートレイン=直列6気筒ディーゼルターボエンジン〔OM656M〕
■総排気量=2988cc
■最高出力=367PS(270kW)/4000rpm
■最大トルク=750N・m/1350-2800rpm
■ISG(Integrated Starter Generator=マイルドハイブリッドシステム)最高出力=20PS(15kW)、最大トルク=208N・m
■トランスミッション=電子制御9速A/T(9G-TRONIC)
■燃料消費率=11.7km/L(WLTCモード)

[G 63]
■全長×全幅×全高=4690×1985×1985(mm)
■ホイールベース=2890(mm■重量=2570kg
■乗車定員=5名
■パワートレイン=V型8気筒ツインターボエンジン〔M177〕
■総排気量=3982cc
■最高出力=585PS(430kW)/6000rpm
■最大トルク=850N・m/2500-3500rpm
■ISG(Integrated Starter Generator=マイルドハイブリッドシステム)最高出力=20PS(15kW)、最大トルク=208N・m
■トランスミッション=電子制御9速A/T(AMGスピードシフト TCT 9速トランスミッション)
■燃料消費率=6.8km/L(WLTCモード)

[G 580 with EQ Technology Edition 1]
■全長×全幅×全高=4730×1985×1990(mm)
■ホイールベース=2890(mm)
■重量=3120kg
■乗車定員=5名
■パワートレイン=4輪独立式モーター〔E0033〕
■システム 最高出力=587PS(432kW)、システム 最大トルク=1164N・m
■一充電航続距離=530km(WLTCモード)

参考リンク)
メルセデス・ベンツ日本合同会社 ホームページ
https://www.mercedes-benz.co.jp/
メルセデス・ベンツ日本合同会社 メディア
https://media.mercedes-benz.jp/
Mercedes-Benz GROUP Media
https://media.mercedes-benz.com/
独立行政法人自動車技術総合機構
審査事務規程の一部改正について(第 11 次改正)
https://www.naltec.go.jp/topics/fkoifn0000004rpm-att/fkoifn0000004yj7.pdf

文・橋爪一仁/提供元・CARSMEET WEB

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