しかし、筑波大学の研究チームは、「ロボットのほうから人に触れることで、より自然な癒し効果が得られるのでは?」と考えました。

そこで着目したのが、猫のすり寄せ行動。

猫が頭をすり寄せると、私たちは無意識のうちに「愛されている」と感じ、リラックスします。

もしロボットが同じ動作を再現できれば、ペットを飼えない人や、高齢者のメンタルヘルスにも役立つ可能性があります。

では、ロボットによるすり寄せは、本当に人間の緊張を和らげるのでしょうか?

「ネコ型ロボットのすり寄りでストレスは減る」と判明

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首の柔軟性を変えられるロボットを開発 / Credit:田中文英(筑波大学)ら , ACM Transactions on Human-Robot Interaction(2024)

筑波大学の研究チームは、猫のすり寄せ行動を再現するロボットを開発しました。

このロボットの最大の特徴は、「首の柔軟性を変えられる可変剛性機構」を搭載している点です。

この機構により、ロボットはより自然なすり寄る動作を実現できるようになりました。

そして研究チームは、このロボットを用いて、ロボットのすり寄る動作が人間のストレスに与える影響を検証しました。

実験には筑波大学の学生22名が参加し、ロボットの首の剛性を3つの異なる設定(低剛性、高剛性、可変剛性)に調整しました。

参加者はロボットを抱え、40秒間すり寄せ動作を体験しました。

この体験の前後で、気分を測定する「Temporary Mood Scale(TMS)」質問紙を用いて緊張度を測定し、ロボットとの接触がどのように心理状態に影響を与えるか調査しています。

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頭をすり寄せてくるネコ型ロボットでストレスが減ると判明 / Credit:田中文英(筑波大学)ら , ACM Transactions on Human-Robot Interaction(2024)

実験の結果、すべての設定において、ロボットと触れ合った後に参加者の緊張度が有意に減少することが確認されました。