22世紀から来たネコ型ロボットと言えば「ドラえもん」ですが、21世紀のネコ型ロボットは、猫のように頭をすり寄せてくる癒し系かもしれません。
猫が飼い主に頭をすり寄せる行動は、愛情表現やマーキングの意味を持つとされています。
この何気ない仕草が、人間のストレスを和らげる効果があるかもしれない——そんな発想から、筑波大学(University of Tsukuba)の研究チームが、新しいセラピーロボットの開発に取り組みました。
研究を主導したのは、筑波大学システム情報系の田中文英(Fumihide Tanaka)教授。
彼らは、猫のすり寄せ行動を模倣するロボットを開発し、それが人間の緊張を和らげる効果を持つかどうかを実験的に検証しました。
研究成果は、2024年12月24日付で『ACM Transactions on Human-Robot Interaction』誌に掲載されました。
目次
- 猫の「すり寄り」は心を癒す
- 「ネコ型ロボットのすり寄りでストレスは減る」と判明
猫の「すり寄り」は心を癒す
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ペットとのふれあいがストレス軽減に効果的であることは、これまでの研究でも広く知られています。
例えば、犬や猫と過ごすことで、ストレスホルモンであるコルチゾールの分泌が低下し、幸福感を高めるオキシトシンが増加することが報告されています。
しかし、ペットを飼うことができない人も多く、その代替としてロボットによる癒しの研究が進められています。
これまでに開発されたセラピーロボットとしては、アザラシ型ロボット「パロ(PARO)」や、ぬいぐるみ型ロボット「Qoobo」などがあります。
これらのロボットは、触れることで癒しを提供するものですが、これまでのセラピーロボットは「人がロボットに触れること」が前提でした。