そこで今回の最新研究では、より多様なサンプルを用いて「本当に女性は男性よりも話すのか?」を再検証することになったのです。
女性はある時期に「おしゃべり」になっていた
メール教授らの研究チームは、より多様なサンプルを用いるため、10歳から94歳までの男女2197人を対象に調査を実施しました。
この研究では、EAR(Electronically Activated Recorder)という録音装置を活用。
これはランダムな間隔で作動し、日常会話の断片を記録する装置で、参加者が自然に話す量を正確に測定できることで知られます。
チームは4カ国で行われた22の異なる研究から約63万件の録音データを収集し、解析を行いました。
その結果、性別による会話量の違いは次のように示されました。
- 25~64歳の年齢層では、女性が男性よりも多く話していた。
- 女性の1日平均発話数:約2万1845語
- 男性の1日平均発話数:約1万8570語
- 男女の発話数の差:約3000語
- 10~24歳、65歳以上では、男女の発話量にほとんど差がなかった。
つまり、「女性は常に男性よりも話す」というわけではなく、特定のライフステージでのみ「おしゃべりにある」傾向が見られたのです。
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では、なぜ25~64歳の間に女性はたくさん話すようになるのか?
その理由として、研究者たちは「育児」や「家庭内での役割」の影響を挙げています。
25~64歳の女性は子育てや孫の面倒を見たり、家庭の管理を担うことが多く、結果として会話量が増える可能性があるのです。
さらに研究では興味深いことに「人々が全体的に話す量が減っている」という新たな発見もありました。
2005年から2018年にかけて、1日の平均発話数は1万6000語から1万3000語へと減少。
これはスマートフォンの普及やSNS・メッセージアプリの使用増加により、人と対面で直接話す機会が減っている影響が指摘されています。