しかし、これまでの研究の多くは一晩の睡眠に焦点を当てたものであり、「短時間の昼寝」が問題解決に与える影響については十分に検証されていませんでした。

そこで研究チームは「昼寝が類推転移を向上させるのか?」という疑問を解明するための実験を行いました。

昼寝で「頭が冴える」と判明!

チームは今回、テキサス州立大学の18歳から29歳の学生58名を対象に、昼寝が問題解決能力に与える影響を調査しました。

参加者は「昼寝グループ」と「覚醒グループ」の2つに分けられました。

まず、全員に「ソース問題」と呼ばれる8つの問題を解かせ、その後に提示する正しい解答を記憶するよう指示しました。

ソース問題の解答を記憶させたのは、後でターゲット問題を解く際に、それまでに学んだ知識を適用できるかどうかを評価するためです。

単に問題を解いた経験があるだけではなく、解決策を明確に記憶しているかどうかが、類推的転移の能力にどのように影響を与えるかを検証することが目的でした。

次に、これらの問題と表面的には違うが構造的に類似している「ターゲット問題」を解かせ、ソース問題の知識を活用して解決できるかどうかを検証します。

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Credit: canva

その後、全員が2時間の休憩を取りました。

  • 昼寝グループは、研究室内の静かな部屋で眠り、その間に脳波(EEG)が記録されました。
  • 覚醒グループは、ラボの外で過ごし、眠ることは許されませんでした。

休憩後、参加者は再びターゲット問題に取り組みました。

またソース問題の解答を記憶しているかどうかを確認する記憶テストを実施し、ソース問題とターゲット問題がどの程度類似していると感じたかを評価してもらいました。

その結果、昼寝をしたグループの方がより多くのターゲット問題を解決できることが明らかになったのです。

特に脳波計測からレム睡眠の時間が長かった人ほど、より多くの問題を解決できる傾向が見られました。