燃料電池車のホンダ FCXクラリティが発売されたのは2008年のこと。2016年にはクラリティ FUEL SELLに進化して世界トップクラスの一充填走行距離(約750km)を実現しました。
それから約8年の時を経て、2024年7月にミドルクラスSUVの『CR-V e:FCEV(イーエフシーイーブイ)』がデビューしました。
日本メーカーが発売する燃料電池車としては初めて、外部から充電可能なプラグイン機能を備えたCR-V e:FCEVを徹底解説します。
目次
・スペース効率の追求によって可能になった燃料電池+プラグイン
・先代のイメージを残しつつも着実に進化をとげたエクステリアとタフでモダンなインテリア
・最大で一般家庭の約4日ぶんの電力を取り出すことも可能
・安全装備も最新のシステムを搭載
スペース効率の追求によって可能になった燃料電池+プラグイン
ホンダ CR-V e:FCEVは、日本の自動車メーカーが販売する燃料電池車としては初めて、外部から充電可能なプラグイン機能を備え、利便性を高めたことが特長です。
北米では、HR-V(WR-V)とパスポートのあいだに位置するCR-V e:FCEVのボディサイズは、全長4,805mm×全幅1,865mm×全高1,690mm。
室内は、歴代のCR-Vが培ってきたSUVならではのゆとりの空間を確保しつつ、FCシステムとプラグイン機能の2つの主要メカニズムを搭載するために、スペース効率が徹底的に追求されています。
フロントに搭載されるFC(燃料電池)システムは、モーターやギアボックス、PCU(パワーコントロールユニット)を一体化した駆動ユニットとして、フロントのボンネット下にガソリン車のエンジンマウントを利用して搭載。
燃料電池システムはホンダとゼネラルモーターズが共同で開発し、北米の合弁会社Fuel Cell System Manufacturing, LLC(米国ミシガン州)で製造。
コアとなる燃料電池(FC)スタックを刷新するとともに、補機類の合理化や低消費電力化を実現。また耐食材料の適用や劣化抑制制御により、耐久性を約2倍に向上させたほか、耐低温性も大幅に向上しています。
17.7kWh のリチウムイオンバッテリーを含むIPU(インテリジェントパワーユニット)は、車両の中心付近の低い場所に設置。
70MPaの規格に対応した2基の高圧水素タンクは、ひとつをリアシート下、もうひとつをリアシート背面である荷室部分に配置するなどして、居住空間を犠牲にすることなく、車両の低重心・低慣性化を図っています。
一回の水素充填では、約621kmの走行が可能(バッテリーによるEV走行可能距離は約61km)です。
現在の国内のインフラ事情を考えると、普通充電に対応して約61kmのEV走行も可能としたパワーユニットは、燃料電池車の可能性を広げることが期待されますね。