そのため、ぶら下がっていても血液が体を十分に巡っているので、頭に血が上ることはないのです。
また高い場所にぶら下がって眠ることは進化的に大きな利点がありました。
地上にいる天敵から身を守ることができるようになったのです。さらに洞窟や木々の下など、暗く見えにくい場所に陣取ることで、フクロウやタカの脅威をも遠ざけることに成功しました。
ぶら下がりはコウモリが進化させた護身術だったのです。
とはいえコウモリの中にも完全には逆さまにぶら下がらない種がいます。
それが中央アメリカや南アメリカの熱帯雨林に生息するスイツキコウモリです。
彼らは面白いことにかぎ爪ではなく、名前にもあるとおり、特殊な吸盤を発達させており、それを葉っぱの裏側に吸い付けて体を固定しておくのです。
確かに逆さまになることもありますが、スイツキコウモリはいろんな角度で体を固定し、眠ることができます。
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このように、コウモリが逆さまにぶら下がって眠る理由には、進化の過程や効率的な飛行、捕食者からの保護といったさまざまな要因が関係しています。
その仕組みや習性を知ることで、コウモリがいかに環境に適応して進化してきたかを理解することができます。
今度、コウモリを見かけたら、彼らの不思議な習性に思いを馳せてみてください。
その小さな体には、私たちがまだ知らない驚きの秘密が詰まっているかもしれません。
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参考文献
Why do bats hang upside down to sleep?
https://www.livescience.com/animals/why-do-bats-hang-upside-down-to-sleep
ライター
千野 真吾: 生物学出身のWebライター。普段は読書をするのが趣味で、休みの日には野鳥や動物の写真を撮っています。