春先になると、コンクリート上をちょこちょこ歩き回る”真っ赤な虫”がよく見かけられます。
あれは「カベアナタカラダニ(学名:Balaustium murorum(Hermann))」と呼ばれるダニの一種です。
全国どこにでもいるので、一度ならずとも見かけたことがあるのではないでしょうか?
一方で気になるのは、その赤さです。
大袈裟でなく、頭の先からつま先まで真っ赤っかですが、研究があまり進んでいないため、なぜこれほど赤いのか分かっていませんでした。
しかし法政大学と京都大学が行った2022年の研究で、カベアナタカラダニが赤色の謎が解き明かされています。
彼らのド派手は赤色は春先の紫外線から体を守るための適応だったのです。
研究の詳細は2022年12月13日付で科学雑誌『Experimental and Applied Acarology』に掲載されています。
目次
- コンクリで見かける赤ダニはなぜ赤いのか?
- 赤い体は「強い紫外線」から身を守るためだった
コンクリで見かける赤ダニはなぜ赤いのか?

カベアナタカラダニは北半球のユーラシア大陸に広く分布し、日本でも北海道から沖縄まで全国に広く存在します。
体長1ミリ前後とダニの中では大型な上に、全身が真っ赤なので肉眼でもよく見えます。
本種が属するアナタカラダニ属は、他のタカラダニ科のダニ類とは大きく異なり、幼虫時代に他の昆虫に寄生することがありません。
また幼虫〜成虫に至るすべての世代で花粉を主な餌にする特徴を持っています。
(ダニの多くは一般的に髪の毛やフケ、アカ、食べかす、カビを好物とします)
本種の存在は昔から知られており、誰もが見かけたことがあると思います。
しかし実はなぜド派手な赤色をしているのかについては長い間、科学的に調査されていませんでした。