リービット氏はバイデン政権時代ではニューヨーク州選出の共和党女性下院議員エリス・ステファニク氏の補佐官として働いた。この際の役割も報道・広報担当だった。その実績を認められ、今回の大抜擢となったわけだ。
以上のように第二次トランプ政権ではその中核のホワイトハウスの最重要ポスト2つが女性によって占められたのである。この実態からは女性軽視どころが女性優先とさえみえる印象が浮かんでくる。
さてトランプ政権の対外政策面での女性の登用で目立つのは前記の下院議員エリス・ステファニク氏(40)の国連大使への任命である。同氏は保守派の論客として国連自体への批判を頻繁に述べてきた。具体例としては昨年9月、国連総会がイスラエルのパレスチナ完全撤退を求める決議案を採択したことに猛烈な抗議の声明を発表した。「この決議案は反ユダヤ主義の不当なイスラエル攻撃だ」として国連全体を政治偏向の国際機関と断じていた。
ステファニク氏は国連傘下の人権理事会やユネスコの活動に対しても、特定の政治偏向を指摘することが多かった。いわば反国連とも呼べる立場の政治家なのだ。そんな人物の国連大使への任命は国連を重視するリベラル派からすれば、とんでもない人事ということになる。
さてここでアメリカの行政府の独特な人事システムの特徴を簡単に説明しておこう。日本とはがらりと異なるのである。
アメリカの国政を運営する行政機構、つまり大統領府に始まり、国務、国防、司法、エネルギー、教育などの政府各省を動かす要員の中枢や幹部はみな政治任命なのだ。日本の場合は大臣、副大臣から政務官あたりまでは政治任命だとしても、残り99%はキャリア官僚である。だがアメリカでは各省の局長から課長、場合によっては係長クラスまで大統領とその政党と考えを同じくする政治任命となる。その数は合計4,000人にも達する。
だから民主党から共和党に大統領が変われば、官僚機構のトップは4,000人もがすべて替ってしまう。今回の場合、共和党の新政権はバイデン政権の民主党支持者の政治任命官僚をすべて排して、共和党、トランプ氏を支持する人材に政府機構の運営を委ねるのだ。