だからこそコウモリは洞窟や天井、木々など、最初から高い位置にぶら下がっておき、そこから落下する形で飛行を始めるのです。
またコウモリは鳥に比べて胸筋の割合も低いため、地上からの離陸には特化していません。
コウモリは約5000万年前に進化し、最初の祖先は今日のムササビやモモンガと同様に、木から木へと飛び移る「滑空」からスタートしたと考えられています。
滑空は高い位置から落下する形で飛び始めます。
すると翼の形状により、空気が翼の上下で異なるスピードで流れるようになります。
翼の上側の空気は速く流れるため圧力が低く、下側の空気は遅く流れるため圧力が高くなり、この圧力差によって揚力が生まれるのです。
つまり、滑空は空気の流れに乗って滑るように移動するので、翼自体を動かす筋力をあまり必要としません。
そこで人間も地上生活を維持したまま空を飛びたいのなら、まずは滑空から始めるのがベストでしょう。
ですから最初はムササビやモモンガのように、比較的短距離の空間を移動する方式になるはずです。
例えば、ビルの屋上から向かいのビルに飛び移るとか。
しかしそこから先に行って、コウモリのように翼をパタパタと動かす自力飛行を進化させたいのなら、大きな胸筋が必要になり、地上での生活も困難になってくるでしょう。
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参考文献
If humans could fly, how big would our wings be?
https://www.livescience.com/health/if-humans-could-fly-how-big-would-our-wings-be
ライター
千野 真吾: 生物学出身のWebライター。普段は読書をするのが趣味で、休みの日には野鳥や動物の写真を撮っています。
編集者
ナゾロジー 編集部