Santa_Papa/iStock

  1. 労働者1人あたりGDPの国際比較

    前回は、中東・CIS諸国の労働生産性(労働者1人あたりGDP、労働時間あたりGDP)についての国際比較をしてみました。

    サウジアラビアやカタールなどの産油国は高い水準に達していますが、時系列で見るとアップダウンが激しく不安定な印象です。

    一方、イスラエルやトルコは順調に上昇していて、特に労働者1人あたりGDPでは日本を大きく上回ります。

    今回は、日本も属するアジア・大洋州の労働生産性について国際比較してみたいと思います。

    人口が多く存在感の増す中国やインド、高い水準が予想されるシンガポール、台湾、香港などが実際にはどの程度なのか、詳細に国際比較してみましょう。

    まずは、労働者1人あたりGDPの比較からです。

    図1 労働者1人あたりGDP 実質 購買力平価換算値 アジア・大洋州 2023年ILOSTATより

    図1が2023年のアジア・大洋州の国と地域についての労働者1人あたりGDPの比較です。

    シンガポール(17.3万ドル)が極めて高い水準に達している以外にも、マカオ(14.2万ドル)がアメリカを超えています。

    他にも香港(12.3万ドル)、ブルネイ(12.0万ドル)、ニューカレドニア(11.7万ドル)、台湾(11.2万ドル)、グアム(10.3万ドル)、オーストラリア(10.0万ドル)、韓国(8.3万ドル)、ニュージーランド(8.0万ドル)が日本(8.0万ドル)を超えます。

    日本より下位では、ポリネシア(7.2万ドル)、マレーシア(6.0万ドル)、モルディブ(4.8万ドル)、中国(3.6万ドル)と続きます。

    タイ、インドネシア、フィリピン、ベトナム、インドなど経済発展中の国も今のところ2万~3万ドルくらいで、日本とはまだ大きく差があるようです。

    上位国とそれ以外で差が大きいのも特徴的ですね。

    日本はアジア・大洋州地域でも11番目と、上位とは言いにくい立ち位置になりつつあるような印象です。

  2. 労働者1人あたりGDPの推移